| 2017/12/27 | 球アンプ作りに魅了されてしまった若い人は、42シングルの次に2A3プッシュ・プルを作った。それは出力トランスにタンゴのFW50-5を使っている贅沢なアンプなのだ。 音の感想を訊くと、「いままでのアンプと比べ低域の差は明らかで、余裕のある穏やかな低音はとても気持ち良いです」ということだった。「真空管アンプは重さだよ！」このことを少しは理解したようである。 そんな彼は本やネットなどで、音が良いとされている2A3の1枚プレートのことを知り、欲しい！聴きたい！音は良いんですか？などと、盛んに私に訊いてくるのである。私の答えはいつも同じで「真空管なんてどれも一緒だよ。だから音が良くなると思って買うんだったらやめた方が良い。だいいち高すぎる！」 ある日、彼は言った。 「この間、2A3シングルで聴いているときに、ふとアンプを見ると1本がやけに暗かったので確認してみると、フィラメントがひとつ断線していました。いつ切れたのかはぜんぜん分かりませんでした」 それを聞いた私は「良かったじゃん。1枚プレートが手に入ったじゃないか！！」と言った。 すると、彼は苦笑いしながら「あんなんじゃイヤです。本物じゃないとだめです」と答えた。 すっかり古典球にとりつかれてしまったようである。 |