| ウィアー・オール・アローン WE'RE ALL ALONE ハード・タイムス HARD TIMES |
ボズ・スキャッグス BOZ SCAGGS | ||||||||||||||||||||||||
| CBS 06SP-359 CBS・ソニー '77年発売 | |||||||||||||||||||||||||
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「038-ユア・オンリー・ロンリー」からのつづき。 男は一生懸命働いた。そして、いくばくかの小金を貯め込むと、仕事を辞め思う存分夢を楽しんだ。 男はやり遂げた。見知らぬ土地での10ヶ月間。もう思い残すことはなかった。 帰る日がやってきた。男は働いていた職場の仲間に別れの挨拶に行った。みんなが別れを惜しんでくれた。なかでも何かと面倒を見てくれたチーフがいちばん寂しそうだった。 「キミにこの曲を贈るよ」 チーフはそう言いながら人差し指で目頭をそっと拭うと、当時すでに珍しくなっていたジューク・ボックスの前に行き曲をかけた。 「ウィアー・オール・アローン」 それは男の心にしみる、とても切ないメロディーだった。みんながそれぞれの想いを胸に、うつむき加減に黙って聴いた。 チーフに目をやると、彼は後ろを向いていた。その肩が小刻みに震えている。笑いをこらえて･･･いや、そんなワケはない。今はとてもしんみりとした場面なのである。 気が付くと、彼の姿はそこになかった。 「それでは、みんな元気で！さようなら！」 私はそう言うと店を後にした。 熱狂的な広島カープ・ファンだった私は、広島市民球場で地元のファンに混じり、一緒に応援してきた。初の日本一になった年に広島に行き、近鉄バファローズとの日本シリーズも観戦できた。翌年も可能な限り球場に足を運び夢を楽しんだ。 '79年から'80年にかけての、おバカな夢を追いかけたアホな男の、生涯忘れることのできないどうでも良い貴重な経験であった。 2007/10/01 |
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